臨床心理士のうたたね日記

日々、気がついたことをできるだけ面白おかしく、時にきまじめにお伝えしていきたいと思います。

年をとらないで

昨日のNHKあさイチで渡辺和子さんが出ていらっしゃいました。イノッチと有働アナとのインタビューの様子はこちらでご覧ください。http://togetter.com/li/694402?page=2 その中で「ある人が私から年をとらないで。年をとることは私の財産なんだからと言ってました」とおっしゃっていたのが印象的でした。 大学時代の恩師の霜山徳爾教授も「成長はある時期がきたら止まるけど、成熟は一生あるんだよ」とおっしゃっていたのを、大学時代勉強そっちのけで遊んでいた私もずっと覚えています。 私にとってカウンセラーとしての成熟って何かって言ったら、やはりロジャースのいうカウンセラーの基本的態度である受容と共感的理解と自己一致だと思います。 受容;相手をかけがえのない独自の存在として尊重する態度。 共感的理解クライエントの主観的な見方、感じ方、考え方を、その人のように見たり、     感じたり、考えたりすること。 自己一致; 自分の内面の感情をそのまま受けとめ、それを意識の中で否定したり     ねじまげたりしないでいられること。                 友田不二男『カウンセリングの技術 クライエント中心療法による』第2版 誠信書房 1996より 大学時代もロジャースを体験的に一生懸命勉強したけれど、どんな様々な治療法を学んでも基盤はロジャースに始まって、ロジャースに終わるのでないかなと思っています。 相談者に対するとき、頭の半分はものすごいスピードで相手を見立てながら、受容と共感をしていく。それが自分とどれだけ自己一致しているかも見ながら。 受容、共感できて、それが自己一致していればいるほど、相談者が良い方向に変化していける可能性を提供することができるのです。共感、受容できていない部分があると、「そこは違いますよ」って相談者から教わることも多いし、あとで自分で自分はまだまだだなと気が付く部分がある。どうして受容、共感できなかったのか、課題として自分の中に置いておく。課題としておいておくとそれが何かのきっかけや体験で解ける時が来る。 だから、私はやはり「私から年を盗らないで」と思うのです。