臨床心理士のうたたね日記

日々、気がついたことをできるだけ面白おかしく、時にきまじめにお伝えしていきたいと思います。

年をとる「最上のわざ」とは?

辻村深月の小説を映画化した「ツナグ」。死んだ者と生きる者の再会を仲介する使者“ツナグ”の見習いを努める高校生が、さまざまな依頼者の姿を目の当たりにして成長する姿を描いています。松坂桃李樹木希林が演じ、温かな掛け合いを見せてくれた2、3年前の映画「ツナグ」の中で流れていたこの詩がずっと印象に残っています。 最上のわざ この世の最上のわざは何? 楽しい心で年をとり、 働きたいけれども休み、 しゃべりたいけれども黙り、 失望しそうなときに希望し、 従順に、平静に、おのれの十字架をになう。 若者が元気いっぱいで神の道をあゆむのを見ても、ねたまず、 人のために働くよりも、謙虚に人の世話になり、 弱って、もはや人のために役だたずとも、親切で柔和であること。 老いの重荷は神の賜物。 古びた心に、これで最後のみがきをかける。まことのふるさとへ行くために。 おのれをこの世につなぐくさりを少しずつはずしていくのは、真にえらい仕事。 こうして何もできなくなれば、それを謙遜に承諾するのだ。 神は最後にいちばんよい仕事を残してくださる。それは祈りだ。 手は何もできない。けれども最後まで合掌できる。 愛するすべての人のうえに、神の恵みを求めるために。 すべてをなし終えたら、臨終の床に神の声をきくだろう。 「来よ、わが友よ、われなんじを見捨てじ」と。 Hermann Heuvers 上智大学学長も務めたヘルマン・ホイヴェルス神父(1890-1977)が、ドイツに帰国後、南ドイツの友人から贈られた詩。 土居健郎、森田明 編、『ホイヴェルス神父 日本人への贈り物』、春秋社、1996年。 この詩に出会ったとき、年をとるすべとはこういうことかなと思いました。とても難しいことです。すごいおしゃべりでうるさくて、早く死んでいくれたらいいと思われるおばあさんになっていたりして、、、老いた時、色々なことができなくなったとき、毎日毎日、どう生きるかがこのようなあり方ができるかどうかにつながっていて勝負だなあと思います。