私はわたし お母さんはおかあさん おかあさんの期待のために生きるのではない
小学校高学年になるとおかあさんはさやかにいつもお父さんの悪口を言った。近所の人からいじめられているということも度々言っていた。
さやかは、お父さんは悪い人だと思い、お母さんを守ってあげなくてはと思った。
お父さんがおかあさんを怒鳴るとさやかはいつもびくびくしながら、父親を憎むようになった。
小学生のさやかは、母は弱い人だから助けなくてはとずっと思ってきた。
でも、本当は、いつも母親の話を通しての父親しか知らなったのだ。それは、大きくなってから気が付いた。
次第に家族で一緒に旅行に行くのも、1台の車の中に家族でいると窒息しそうな気がした。母親のいつものぐちも重かった。
家にいるといつも空気がピリピリしているような緊張感があり、疲れた。
さやかは、両親は猛反対であったが田舎を離れて都会の大学に入学した。さやかは、寂しい気持ちもあったが、身が軽くなったようであった。
そんなとき、母親が電話でいきなり「子育て間違ったわ」と言った。
それは、どういう意味だろうと思った。
母親が自分を責めている感じでもなかった。さやかはわかった。
母親を置いて都会の大学に出てきたさやかを責めているのだと。
大学の教授の研究室を訪ねたときのこと。
部屋を見回すと壁に英語で
「私は私であり、あなたはあなたである。
私はあなたの期待にそうために生きるのではなく、あなたも私のために生きるのではない。
もし、そういう二人が出会えば、素晴らしい。出会えなかったら仕方がない」
という心理学者ロロ・メイの言葉があった。
そうだ、私は、わたしであり、お母さんはおかあさんだ。
私はおかあさんの期待にそうために生きるのではない。
そのころ、さやかは、対人関係で人の期待にこたえられないと罪悪感を感じてしまう自分も強く感じていた。
教授は「ロロ・メイはこんな言葉も残しているんだよ。」と言った。
「勇気というのは、絶望や失望のない状態ではなく、むしろ、絶望しても前に進もうという能力のことだ。」と教えてくれた。
さやかは、自分の人生が少しだけ始められるような気がした。
(このケースは私の想像の翼を広げて書いています。)
ロロ・メイ(Rollo May, 1909年4月21日 - 1994年10月22日)は、アメリカ合衆国の心理学者。臨床心理学者であり、アメリカにおける実存心理学の開拓者である。カール・ロジャーズ、エイブラハム・マズローらと共に人間性心理学を代表する1人と見なされている
昨日みなさんから、佳子さん(仮名)への暖かいコメント、励まし有難うございました。
佳子さんよりメッセージをもらいました。
「私の気持ちをわかってくれる人がいることがとてもうれしくて、少し驚いています。有難うございます。安心しました」
コメントをくださったみなさん、訪問していただいたみなさん、本当に有難うございました。
よかったら、さやかの話①こちらもみていただけるとうれしいです。