インフルエンザ
職場に行くと、上司がさわやかな疲れがとれた顔をしている。
「風邪でこの2日休んだんだよ」
だから、疲れがとれている顔をしているのだと思った。
「まだ、治りきらないんだよ。だから、今日、外の会議に行くの止めるんだ。」(それにしてはマスクをしていない)
「どこどこの部署の○○がインフルエンザでね、休んでる。それにうつされたようでどこの部署の○○さんも休んじゃってね。俺もインフルエンザかなあ。」
私は、思わず10メートルほど飛びのいた。 臨床心理士は身体が資本である。非常勤の臨床心理士にとって、病気になることほど、ましてインフルエンザなど伝染するような出勤できないような病気になることは、予約した相談者にこの上のない迷惑をかけることなのである。
私は、陰でいつも準備しているマスクをし、その日は、上司を危険人物とみなし、2度と近づかなかった。